今人気!見せる収納のコツ
飾りながら収納するという、新しい発想
狭い住宅に住む、特に都心の若い世代の人たちは、SNSによる情報の拡散力によって、収納の考え方も方法も以前と変化し、格段に上達しているように思います。
近年のDIY人気からもうかがえるように、100円ショップのグッズを上手に使って見せる収納を自分流に楽しむ人たちが増えています。お揃いやサイズ別など、「見せる収納」を組み立てやすく購入しやすい容器が人気のようです。
キッチンの調理道具や調味料を同じデザイン・サイズの容器に移して「見せる収納」にしたり、リビングのカップボードの上に家族の写真やシーズンごとのオーナメントを飾ったり。
健康志向を反映して、玄関のシューズクローゼットをオープンにし、例えばお気に入りのサイクリング用品を飾りつつ収納する人も増えているようです。
このように現在、収納に対する考え方は大きく変化し、可能性が広がっています。
おしゃれの前に、安全性と機能性が大切
住宅購入という大きな決断をするとき、自分たちに合うスタイルを探す方法として雑誌やインターネット、モデルルームなどから情報を集める人も多いと思います。
インターネットや雑誌は様々な施工例やスタイルを一気に見ることができるため、自分のお気に入りを見つける入り口としてとても優れていると思います。
見つけた後はモデルルームなどに足を運び、実際に暮らしやすいかどうか検証する方も多いでしょう。
私がモデルルームのデザインを行う際、ポイントにしていたのはその住宅をいかに素敵に見せるか、そしてどんなテーマでデザインするかということでした。
おしゃれな「見せる収納」は、住宅購入のお客さまにとても人気があり、デザインを考える私にとっても楽しくやりがいのあるものでした。 しかし、それ以前に収納で重視していたのは、生活する上で不可欠の安全性と機能性でした。
掃除しやすく、安全であること
「見せる収納」は楽しく素敵にアレンジできますが、ネックもあります。1つは、清掃が行き届かなくなると埃をかぶり、ただの不衛生で雑多なものになってしまうことです。
清潔さを保つための「見せる収納」のポイントは、①掃除がしやすい ②使いやすい可動域で行うこと
この2点に気をつければ、長い期間きれいに保つことができます。
もう1つ、「見せる収納」のネックは、つい安全性を後回しにしがちなことです。人間工学上、収納に適した安全な範囲があり、その位置を守れば作業的にも精神的にも快適です。
安全な範囲とは、上は立った状態で「肘を伸ばしきらずラクに届く高さ」、下は「腰あたりまで」と決めるのがおすすめです。腰より下は、掃除や安全性から考えて重いものや大きいものなどを隠す収納にします。
また、肘を伸ばしきってやっと届く高い場所には、地震などの防災・安全性から考えて、軽いものを隠す収納にするのが賢明です。
キッチン収納のポイント
キッチンの「見せる収納」のポイントは次のとおりです。
●調味料やスパイスは見せる収納に
ケースや瓶などに入っている調味料やスパイスや食材は、スッキリきれいに見えます。使う頻度も高いので、手に取りやすい場所に置いて見せる収納にします。
●調理道具は隠す収納に
調理道具は埃がたまると不衛生になるので、下の引き出しにしまい見せない収納に。鍋や土鍋、ホットプレートなど大物調理道具はさらに下の段にします。
●上部の隠す収納には、軽くてかさばるものを
「肘を伸ばしきらずラクに届く高さ」より上部、つまり台に登らないと取れない場所は見せない収納にし、かさばるけれど軽い物を。例えば、キッチンペーパーやラップ、コーヒーや茶葉などがおすすめです。自分の使い安いポイントを見つけましょう。
「見せる収納」と「見せない収納」のメリハリをつける
「見せる収納」で大切なことは①違和感のない場所にする、②隠す収納とメリハリをつけることです。
面積配分で言うと、「見せる収納」が隠す収納の1/3程度だとスッキリ見えます。
「見せる収納」を取り入れることで、日々の生活を楽しんだりにメリハリをつけたり、自分を表現するツールとして活用できれば、人生がより素敵になると思います。
マイホームを購入する際には収納の広さだけでなく、「見せる収納」と「隠す収納」の使い分けなど、上手な収納方法も検討していただきたいと思います。
プロフィール 森山ゆか(もりやま・ゆか)
インテリアコーディネーター。料理研究家、フードスタイリストとしても活躍。幼い頃からインテリアと料理に興味を持ち、これまでに収集したお皿は1000枚超。
撮影で使用する食器を含め多くの調理用品、日用品、子供のもの、また趣味のアイシングの作品や旅行用品など、全てを自宅に収納。
使いやすく美しい収納術は独創的で効率的、かつ実用的。友人知人とのホームパーティなど、様々なシーンで使える時短・簡単レシピをメインにした料理教室を主催、人気を呼んでいる。SNSでも美しい時短おもてなし料理とともに収納アドバイスも発信中。