築年数が古いマンションでも、永住は可能?
回答者:ファイナンシャル・プランナー 北見久美子
<質問内容>
中古マンションの購入を検討中です。同じエリアで物件の候補を2つに絞りました。一つは築20年、もう一つは築30年で、第一希望は価格も安めで雰囲気が明るい築30年の物件です。住み替えは考えておらず、平均寿命から考えてあと40年は住みたいのですが、築30年でも問題ないでしょうか?(40歳 会社員)
回答:マンションの寿命は一概には言えませんが、管理状態によって大きく左右されます。適切なメンテナンスが行われているかどうかを確認しましょう。
マンションの寿命は、物件によって異なる
リフォーム技術が向上し、中古マンションでも好みの住空間が実現しやすくなってきました。2016年には首都圏における中古マンションの販売戸数が、初めて新築を上回り、世間を驚かせました。
こうした中古人気の高まりとともに、よく聞くのが「ずっと住み続けたいけど、老朽化が心配」「そもそも、マンションの寿命って何年なの?」といった声。
そこで、あらためてマンションの「寿命」について考えてみましょう。
明確な定義はありませんが、不動産専門のリサーチ会社「東京カンテイ」は、「竣工→取り壊し→建て替え物件の竣工」までの期間を「寿命」と見なして調査を行っています。これによると全国平均は33.4年でした(2014年)。
しかし、実際にはもっと長寿の物件もあります。たとえば、2013年に取り壊された「同潤会上野下アパート」は築84年でした。また、日本で初めて民間によって建てられたマンションは東京・四谷にあり、築60年を超えた今もレトロなたたずまいが人気を集めています。
新耐震基準はクリアしているか?
古いマンションの場合、耐震性に不安を感じる人も少なくありません。判断の目安となるのは、新耐震基準が適用された「1981年6月1日以降」に建築確認を受けた物件かどうかです。築30年なら1987年に竣工しているため、問題ありません。
もし、新耐震基準が適用される前に建てられたマンションを検討する場合は、耐震改修工事を行っているか、あるいは耐震診断を受け耐震性が証明されているかどうかを必ず確認しましょう。
管理の良し悪しが寿命を左右する
ご質問の「築30年のマンションにあと40年住めるか?」についてですが、物件によって異なるというのが答えになります。
マンションの寿命を左右するものとして特に重要なのは、管理状態です。人間の場合、体を酷使するばかりでケアをしないと、健康な人でも無理がたたってどこかに不調があらわれ、そのまま放置し続ければ命にもかかわりかねません。マンションも同じです。
メンテナンスや修繕は適切に行われているか?
不動産会社を通じて、「管理費」や「修繕積立金」がきちんと支払われ、適切にメンテナンスや修繕が行われているかどうか確認しましょう。内見の際は、住戸内だけでなく、共用部分の雰囲気にも注目してください。管理が行き届いているマンションは、明るく清潔感があります。
また、長寿マンションの共通点として、住人がマンションに愛情を持ち、自分たちでより良い住環境を作っていこうという主体的な空気があります。そのような物件は、「ここに住んでみたい」と思う人が多く、古くても資産価値も下がりにくいといえます。
素敵な中古マンションに出会えることを祈っています!
(プロフィール)北見久美子 きたみ・くみこ
CFP(ファイナンシャル・プランナー)&消費生活アドバイザー。個人相談数千件の経験を生かし、「ライフプランに生かすお金の活用法」など、全国各地で住まいに関する講演を行っている。雑誌などでも連載多数。主な著書に『親のお金の守り方』『助成金がわかる本』『50歳からのお金のきほん』などがある。日本FP協会会員。